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2026年6月12日

遊休不動産とは|企業が見直すべき判断基準と対応方法を解説

社宅イメージ

遊休不動産とは、現在使用されていない、または利用頻度が低下している土地や建物を指します。

企業では、統廃合後の事業所や閉鎖した社員寮などを保有し続けているケースも少なくありません。

しかし、遊休不動産は活用されていない状態でも、固定資産税や維持管理費が継続的に発生します。

一方で、社員寮・社宅への転用や売却など、事業戦略と連動した活用も可能です。

この記事では、遊休不動産の意味や放置するリスク、主な対応方法、活用時のポイントについて解説します。

使われていない社員寮・社宅や低稼働不動産の活用にお悩みの企業さまは、「株式会社日立プロパティアンドサービス」へご相談ください。

企業不動産の売却・活用・社員寮再整備など、事業戦略と連動した不動産コンサルティングを行っています。

遊休不動産とは

社宅イメージ

遊休不動産とは、現在使用されていない、または利用頻度が低下している土地や建物を指します。 

企業が保有する不動産の中には、事業環境の変化によって活用されなくなったものも多く、保有方針の見直しが課題となるケースも増えています。

遊休不動産の意味

遊休不動産には、法律上の明確な定義はありません。

一般的には、企業が保有する不動産のうち、現在の事業活動や福利厚生に十分活用されていないものを指して使われる用語です。

対象となるのは、土地だけでなく建物も含まれます。

完全に使用されていないケースだけでなく、利用頻度が大きく低下している低稼働状態も、広い意味では遊休不動産として扱われる場合があります。

遊休不動産と類似用語の違い

遊休不動産と似た用語には、「低稼働不動産」と「空き家」が代表的です。

それぞれの違いは以下のとおりです。

用語  内容 
遊休不動産  ほとんど使われていない 
低稼働不動産 一部利用されているが稼働率が低い
空き家 個人所有の住宅で長期間空室の物件

企業不動産では、「完全に未利用」という状態だけでなく、「利用率が低下している状態」が問題になるケースもあります。

不動産は保有しているだけでも、固定資産税や維持管理費、修繕費などのコストが発生するからです。

そのため、完全未利用でなくても、「維持コストに対して利用価値が見合わない状態」であれば、遊休不動産と同様に活用や整理を検討することが重要です。

遊休不動産に該当するかの判断目安

自社の保有不動産が遊休不動産に該当するかは、利用実態や維持コスト、今後の利用予定などから判断する必要があります。

判断時に確認したい主な観点は以下のとおりです。

  • 利用頻度:日常的に使用されているか、限定的な利用に留まっているか
  • 稼働率:社員寮であれば入居率、オフィスであれば座席利用率など
  • 未利用期間:未利用状態が一定期間以上継続しているか
  • 維持コストとの比較:固定資産税・管理費に対して、利用価値が見合っているか
  • 将来の利用予定:今後の事業計画に組み込まれているか

これらの観点から見直すと、たとえば以下のような不動産は、遊休または低稼働状態に該当する可能性があります。

種別 状態の例
社員寮・社宅 ・閉鎖した社員寮
・統廃合後の社宅
事業施設 ・操業を停止した工場跡地
・利用されていない研修施設
福利厚生施設 空室率の高い保養所・厚生施設
オフィス 出社率低下によって余剰化したオフィス

一方で、現時点では未使用でも、近い将来の事業計画に組み込まれている不動産は、遊休不動産には該当しません。

そのため、保有不動産の見直しを進める際は、利用実態だけでなく、今後の事業戦略や人材戦略との整合性も含めて判断することが重要です。

企業で遊休不動産の見直しが進む背景

社員イメージ

企業で遊休不動産の見直しが進む背景には、働き方の変化や事業再編が影響しています。

ここでは、企業保有不動産の見直しが進む主な要因を整理します。

働き方の変化によるオフィス・社員寮の変化

テレワークの普及によって、オフィスや社員寮の利用実態は大きく変化しました。

国土交通省「令和7年度 テレワーク人口実態調査」では、雇用型テレワーカー比率は全国で25.2%となっており、テレワークが一定程度定着している状況が示されています。

こうした働き方の変化によって、以下のような見直しが進んでいます。

  • オフィス縮小、統合
  • 拠点再編
  • 福利厚生施設の見直し

その結果、以前ほど利用されなくなったオフィスや社員寮、福利厚生施設について、企業が保有方針を見直す動きも目立つようになりました。

働き方の前提が変わったことで、これまで必要とされていた不動産でも、現在の利用実態に合わなくなる場面が生じています。

〈参照〉 国土交通省:令和7年度 テレワーク人口実態調査「テレワーク実施率、安定基調で推移」

事業再編・拠点統廃合による遊休化

事業再編や拠点統廃合も、保有不動産の見直しが必要になる要因です。

M&A・グループ再編・事業撤退などが行われると、これまで稼働していた事業所や社員寮、工場などが本来の用途を失うケースも少なくありません。

とくにグループ会社を含めて不動産を保有している場合は、再編に伴い、保有資産の全体像を改めて整理する必要が生じます。

保有不動産がグループ全体に分散していると、利用実態の把握や方針判断に時間がかかることもあります。

そのため、事業再編のタイミングだけでなく、定期的に保有不動産の利用実態を棚卸しすることが重要です。

遊休不動産を放置するリスク

遊休不動産放置イメージ(室内)

遊休不動産は、使用していない状態でも維持コストや管理負担が発生します。

老朽化や防犯面の問題だけでなく、企業経営にも影響を与える可能性があるため、放置せずに対応方針を整理することが重要です。

固定資産税や維持管理コストが発生する

遊休不動産は、使用していない状態でも固定資産税や都市計画税などの税負担が発生します。

建物を保有している場合は、以下のような維持管理コストも必要です。

  • 建物管理費
  • 修繕費
  • 清掃費
  • 警備費
  • 設備維持費

とくに築年数が古い建物では、空調設備や給排水設備、防水などの維持管理費が増加しやすくなります。

そのため、利用実態に対して維持コストが見合っているかを定期的に確認することが重要です。

老朽化によって資産価値が低下しやすい

使用されていない建物は、人が利用している建物より劣化が進みやすい傾向があります。

空き建物では換気や通水の機会が減るため、湿気やサビ、設備不良が発生しやすくなります。

とくに注意したいのが、以下のような部分です。

  • 配管設備
  • 防水層
  • 空調設備
  • 外壁
  • 電気設備

定期的な修繕が行われない状態が続くと、建物全体の老朽化が進み、資産価値の低下につながります。

劣化状況によっては大規模修繕や解体が必要となり、将来的なコスト負担も大きな問題です。

防犯・安全面のリスクにつながる

遊休不動産を長期間放置すると、防犯や安全面のリスクにつながる可能性があります。

たとえば、以下のような問題が代表的です。

  • 不法侵入
  • 放火や火災
  • 景観悪化
  • 不法投棄
  • 近隣トラブル

管理が行き届いていない建物では、設備破損や雑草繁茂などによって周辺環境へ影響を与える場合もあります。

こうしたトラブルや管理不全は、地域住民や近隣事業者の目に触れやすく、取引先や地域からの信頼低下につながる可能性もあります。

そのため、遊休不動産は安全管理だけでなく、周辺環境への影響も含めて対応を検討することが重要です。

経営資源が固定化される

遊休不動産の問題は、単なる不動産管理の課題だけではありません。

企業経営の視点では、「活用されていない資産に経営資源が固定化されている状態」ともいえます。

遊休不動産を保有し続けることで、以下のような影響が生じる可能性があります。

  • 売却による資金化ができない
  • 新規投資へ資金を回しにくい
  • 維持管理コストが継続的に発生する
  • 保有資産の効率が低下する

不動産を単なる保有資産として扱うのではなく、「事業にどう活かすか」という視点で整理することが重要です。

遊休不動産や低稼働不動産への対応方針にお悩みの企業さまは、「株式会社日立プロパティアンドサービス」へご相談ください。

企業不動産の売却・活用・社員寮再整備など、事業戦略と連動した不動産コンサルティングを行っています。

遊休不動産の主な対応方法

建物イメージ

遊休不動産は、放置するのではでなく、現在の経営環境や事業方針に合わせて、売却・賃貸・社員寮への転用などの対応を検討することが重要です。

不動産の立地や建物状態によって適した方法は異なるため、維持コストや将来性を踏まえて方針を整理する必要があります。

売却して資産整理を行う

遊休不動産の対応方法として、検討されやすいのが売却です。

利用予定がなく、今後も活用見込みが低い不動産であれば、売却によって維持コストや管理負担の軽減につながります。

売却によって期待できる主なメリットは以下のとおりです。

  • 固定資産税や維持費の削減
  • 資産のキャッシュ化
  • 管理業務の負担軽減
  • 保有資産の整理

近年は、エリアによって地価動向が変化しているため、売却タイミングの見極めも重要です。

国土交通省が公表している「地価公示」では、都市部を中心に上昇傾向が続いているエリアもある一方、地域によっては需要縮小が進んでいるケースもあります。

そのため、現在の不動産市場や将来性も踏まえながら、売却・保有どちらが適しているかを判断することが重要です。

〈参照〉 国土交通省:政策・仕事>地価・不動産鑑定「地価公示」

賃貸不動産として活用する

遊休不動産は、賃貸不動産としての活用も選択肢のひとつです。

たとえば、以下のような用途が考えられます。

  • オフィス
  • 賃貸住宅
  • テナント
  • 倉庫

立地条件や建物仕様が需要と合致すれば、継続的な収益化につながる可能性があります。

一方で、すべての不動産が賃貸活用に適しているわけではありません。

賃貸活用を検討する際は、以下のポイントを整理することが重要です。

  • エリア需要との適合性
  • 改修費用
  • 築年数
  • 空室リスク
  • 維持管理体制

築古物件では、大規模改修が必要になるケースもあります。

また、周辺需要と合っていない用途で活用すると、空室リスクが高まる可能性もあります。

そのため、収益性だけでなく、立地や市場ニーズを踏まえて活用方法を検討しましょう。

社員寮・社宅として再活用する

遊休不動産は、社員寮や社宅として再活用できる場合があります。

近年は、人材確保や福利厚生の見直しを背景に、社員寮・社宅の重要性を改めて見直す企業も少なくありません。

以下のような課題を抱える企業では、社員寮の必要性が高まる場合があります。

  • 若手採用の強化
  • 地方拠点での人材確保
  • 住宅手当の負担軽減
  • 福利厚生の充実
  • 採用競争力の強化

既存の社員寮や福利厚生施設が遊休化している場合でも、改修や用途変更による再活用も可能です。

一方で、建物の老朽化状況や立地条件によっては、建替えや借上社宅への切替を含めた検討が必要になる場合もあります。

そのため、社員寮・社宅としての再活用は、現在の人材戦略や福利厚生方針も踏まえて検討することが重要です。

社員寮を導入する方法については、こちらの記事でも解説しています。

〈関連コラム〉

定期借地・駐車場など低負荷で活用する

大規模な投資を避けたい場合は、定期借地や駐車場としての活用も有効です。

定期借地や駐車場活用の主な特徴は以下のとおりです。

  • 管理負担を減らしやすい
  • 建物投資を抑えやすい
  • 柔軟に用途変更しやすい

将来的に別用途で活用する可能性がある土地では、一時的な活用方法として選択されるケースもあります。

ただし、エリア需要によって収益性は大きく変わるため、周辺環境や市場動向を踏まえながら検討することが重要です。

遊休不動産への対応で失敗しないためのポイント

遊休不動産への対応は、選択する方法によって収益化やコスト削減につながる可能性があります。

一方で、立地や需要を十分に整理せずに進めると、維持負担や空室リスクが増える可能性もあるため、事業戦略と合わせて慎重に検討することが重要です。

事業戦略と連動して対応方針を整理する

遊休不動産への対応を検討する際は、「空いているから使う」という考え方だけで判断しないことが重要です。

企業不動産は、今後の事業戦略や人材戦略と合わせた整理が欠かせません。

たとえば、以下のような視点が対応方針に影響します。

  • 今後の人員配置
  • 拠点再編
  • 採用戦略
  • 福利厚生方針

現在は利用されていない不動産でも、将来的に再活用が見込まれる場合もあります。

一方で、今後も利用予定がなく、維持コストだけが発生している場合は、売却や用途変更を検討した方が合理的な選択肢です。

そのため、遊休不動産の対応では、「物件単体で何ができるか」だけではなく、「現在の経営戦略と整合するか」を軸に判断することが重要です。

立地・築年数・需要を整理する

遊休不動産は、すべての物件が同じように活用できるわけではありません。

対応方法を検討する際は、不動産ごとの条件を整理する必要があります。

確認したい主なポイントは以下のとおりです。

  • 駅からの距離
  • 周辺エリアの需要
  • 建物状態
  • 築年数
  • 将来性

たとえば、社員寮や賃貸住宅として活用する場合は、通勤利便性や周辺環境が重要な判断材料です。

また、築年数が古い建物では、大規模改修や耐震対応が必要になるケースもあります。

立地条件によっては、建物活用よりも売却や土地活用の方が適している場合もあります。

そのため、「何に活用できるか」を先に決めるのではなく、まずは不動産の条件や市場需要を整理することが重要です。

専門家へ早めに相談する

遊休不動産への対応では、判断が複雑になるケースも少なくありません。

不動産は立地や建物条件によって適した対応方法が大きく異なるため、自社だけで判断するのは難しい場面もあります。

そのため、不動産市場や企業不動産に詳しい専門家へ早めに相談することも重要です。

以下のような場合は専門家への相談が有効です。

  • 複数の不動産を保有しており、全体方針を整理したい
  • 売却・賃貸・転用のどれが適しているか判断に迷う
  • 社員寮・社宅としての再活用を検討している
  • 公的データを踏まえた客観的な判断材料がほしい

対応方針が固まってから相談すると、選択肢が限定されたり、最適でない方向に進むリスクもあります。

そのため、方針を固める前の段階から相談することで、より幅広い選択肢の中から判断できる可能性があります。

まとめ

この記事では、遊休不動産の意味や放置するリスク、主な対応方法、対応時のポイントについて解説しました。

遊休不動産は、放置すると維持コストや老朽化、防犯面のリスクにつながる可能性があります。

一方で、売却や賃貸だけでなく、社員寮・社宅として再活用できるケースもあります。

重要なのは、保有を続けるか、売却するか、社員寮や賃貸として活用するかなど、現在の事業戦略や人材戦略に合った方針を整理することです。

遊休不動産や低稼働不動産への対応方針にお悩みの企業さまは、株式会社日立プロパティアンドサービスへご相談ください。

地価公示や不動産市場データを踏まえ、企業不動産の売却・保有方針の整理から、社員寮・社宅への再整備まで、事業戦略と連動した不動産コンサルティングを行っています。

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